亡命の町

2020 千葉県建築学生賞
亡命の町-私は建築に救われたかった-
大野めぐみ(おおの めぐみ)
 千葉大学・工学部・建築学科

大野めぐみ 言葉で殴られると、自分の存在をたびたび見失う。

あの時、
なぜ 扉は閉まったままでいてくれなかったのだろう。
なぜ 壁はあの声を通してしまったのだろう。
なぜ この部屋ごと私の存在を消してくれなかったのだろう。

建築に助けを乞うたのに、答えてはくれなかった。

健康そうに見える町でも、そこに住んでいる人たちは、それぞれ日常に「事情」を抱えて生きている。
その積み重ねは、徐々に人々の心身を蝕んでいく。
苦しいとき、自分の存在がわからなくなったとき、助けを求める先が「建築」でもよいのではないだろうか。̶̶束の間の癒やし、存在を確かめにいくだけの場̶̶
これは、過去の私の救済であり、現代を生きる人への処方箋である。

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