2016 千葉県建築学生賞 奨励賞
谷を耕す坩堝 〜広場と建築の間の器〜中村駿介(なかむら しゅんすけ) 東京理科大学 理工学部建築学科 安原研究室
現在の渋谷において建築は、多種なコンテンツを組み込むことで、人々を誘い込み、消費を促し、経済効果を生むための装置として成り立ってしまっています。現代を生きる人々はスマホでSNS やインターネットを使い、そのコンテンツを検索し、目的に向かって直行します。つまり、目に見えない世界に人の目的の主体が置かれていると言えるのではないでしょうか。しかし、ワールドカップなど大きなイベントがある時は大勢の人が共通の話題で統一し、群衆が可視化されるという奇妙で愉快な現状があります。それは見えない主体性が姿を現す瞬間です。
偶発性が失われつつある都市で、日常的にも、人々の些細な溜まりを受け入れる器は、均質化をたどる街を耕す可能性を秘めているのではないでしょうか。
それは広場なのか建築なのか。目に見えない主体性を受け入れる器を設計することで、人々の集い方の本質と、場所性とは何かを問うことを目的とします。