2023 千葉県建築学生賞
なつかしくて優しい町を留める方法石田開(いしだ かい) 千葉大学・工学部・総合工学科建築学コース
僕は精一杯生きてきたつもりだが、突然不安になる。友人の輪に入れず、流行は分からず、SNSは使いこなせない。僕はこの現実に生きていて、いいのだろうか?
なつかしむことは、過去を肯定すること。なつかしい土浦の町は、これまでの人生を、肯定させてくれる優しい町だった。そんな町は今、再開発で賑わいつつある。綺麗になる町を、どこか寂しく見ていた。そんな町に恩返しをしたい。
開発を邪魔せず、なつかしい町をどこかに留めたい。町の表層を移築し、再構成しながら収集する「アーカイブ」を設計する。外皮は町の歴史を不揃いに重ねて構成。不揃いな内部と外皮が呼応し合い、なつかしい非現実を作り出す。