2022 千葉県建築学生賞 優秀賞 / JIA全国出展作品
石積みの道標清水杏(しみず あん) 日本大学・生産工学部・建築工学科
地元である静岡県焼津市の山村集落には,旧東海道が通っており,江戸時代に交通の重要な拠点として利用されていた。登山口が集落内にあることから,現在では多くの登山人がこの場所を訪れ,昔の行き交う旅人の面影を残している。敷地調査を通じて,登山人の居場所がない状況と,生業が衰退し孤立した集落に着目し,集落景観を支える石垣を活かした登山人の拠点を提案する。登山を通じて味わうことができる人や生物との出会いや,進んだことのない道を進む感覚を空間に置き換え,温泉や食堂,宿泊棟を点在させる。登山人が疲れをとりながら,自らの経験や思い出を共有するだけでなく,集落住民と交流し,地域の歴史を知ることで旧東海道が人々の拠り所となり,集落をつなげていく。