お知らせ

3.142022

第34回千葉県建築学生賞受賞速報

審査を重ね、2022年千葉県建築学生賞の各賞は以下の方々が選ばれました。
おめでとうございました!

●最優秀賞 「無意識の変化」
 (JIA出展) 佐藤 有希子 / 東京理科大学 理工学部 建築学科

私達はどれだけの人と関わりあい、どれだけの選択肢に気付けているだろうか?何か心に不自由がある時、私たちは自らもしくは他者から社会的刺激を遠ざけ、自分には選択肢がないと言う思い込みが生まれる。そこで、日常の延長に心を豊かにするきっかけを散りばめることで、彼らが無意識に感じていた思い込みを取り除く、新たなケア空間を提案する。本設計では、身体的ケアだけでなく、心のもやを取り除き、”1人の人間”として豊かに生きていくことが出来る場所をケア空間と定義ける。そして、ケアする/されるのように一方的な関係ではなく、お互いを信頼しあうことで成立する居場所を築くことで、様々な場所から弾き出された人々の受け皿となる。


●優秀賞 「石積みの道標」
 (JIA出展) 清水 杏 / 日本大学 生産工学部 建築工学科

地元である静岡県焼津市の山村集落には,旧東海道が通っており,江戸時代に交通の重要な拠点として利用されていた。登山口が集落内にあることから,現在では多くの登山人がこの場所を訪れ,昔の行き交う旅人の面影を残している。敷地調査を通じて,登山人の居場所がない状況と,生業が衰退し孤立した集落に着目し,集落景観を支える石垣を活かした登山人の拠点を提案する。登山を通じて味わうことができる人や生物との出会いや,進んだことのない道を進む感覚を空間に置き換え,温泉や食堂,宿泊棟を点在させる。登山人が疲れをとりながら,自らの経験や思い出を共有するだけでなく,集落住民と交流し,地域の歴史を知ることで旧東海道が人々の拠り所となり,集落をつなげていく。


●優秀賞 「谷に繰り出す」
 (JIA出展) 小林 真子 / 日本大学 理工学部 海洋建築工学科

再開発ラッシュを迎えている都市は、急速な街の発展に伴い、その街の個性が薄れていく傾向にある。
渋谷は“谷”という複雑な地形に発展し、多様な文化が混在する都市へと成長してきた。しかし、近年の再開発では谷地形を克服するような計画が行われ、他の都市と変わらない風景が広がりつつある。
本提案では、現在の都市構造や文化を生んだ地形をその場の個性と定義し、“渋谷に谷をもどす”というコンセプトをもとに、“多様性のある都市”を“谷”に再編する。
谷地形に連続するように、地上と地下を一体として計画することで、渋谷の街を自由に結び、人、文化、環境、防災、交通などの観点において渋谷ならではの風景を残していく。


●特別賞 「策ス切断、拓ク街」
山田 光輝 / 東京電機大学 未来科学部 建築学科

都市計画道路は時に、街の構造を壊し、周辺環境を大きく変える力を持っている。現在、そんな強大な力によって下北沢は以前の街の魅力を失いつつあり、どこでも見られる均質化された都市の風景に近づいている。
そこで、建て替えが行われる建物を都市計画線で「切断」するという手法を選択した。すると切断には、新たな可能性が垣間見えた。この都市計画道路を中心とした再開発に抗うためには、下北沢の裏道文化を表に可視化して、価値をさらけ出していく必要があると考えた。ここにおいて「切断」はその裏っぽさを表に可視化するための操作であり、表と裏が緩やかにつながっていく。都市計画を契機に現れた切断という行為に着目し、街や建物に対して様々な切断を行なっていく。


●特別賞 「第20次卸売市場整備計画」
小山 大輝 / 東京理科大学 理工学部 建築学科

北新宿の住宅密集地に、四方を壁に囲まれたおよそ2.4ヘクタールの空間がある。50年後、この街区を細分化せずに建築を残し続ける、その空間の価値を考えた。これから50年先の未来を予測しきることはできるだろうか。この整備計画は、2070年までの段階的計画を、一旦設計しながらも、5年ごとに2070年の計画を見直す手法を提案するものである。世の中の環境に適応し、空間を変遷させながら時を刻む建築。ヒューマンスケールを超えた市場空間を、近隣住民と伴走しながら地域交流の場として開いていく。そんな魅力ある空間を、この場所に提供し続けることを提案する。


●JSCA賞 「神楽の降下橋」
 谷口 真寛 / 日本大学 生産工学部 建築工学科

私は,自分の育った宮崎県の西臼杵郡高千穂町を研究において調査し,高千穂町の風土や歴史,文化をより体感した。高千穂町は,日本書紀や古事記などにも登場する数多くの神話が息づく場所としても知られている。そのことから私は,神話の息づく風景の中でも高千穂神楽に注目し,設計を行なった。
 神楽のかたちなどが少しずつ違う三田井地区と岩戸地区の間にあり,地域の境となっている岩戸川流域の峡谷を計画敷地とした。そのため,多種多様な神楽を舞う舞台でありつつ,人々を繋ぐ橋を設計した。二つの地域の境となっている峡谷での橋であり神楽を舞う舞台は,人と神々を繋ぎ,舞遊ぶ場所となる。


●市民賞 「新たな「縁」をつくる立体広場」
横山 拓海 / 東京電機大学 未来科学部 建築学科

人々の都市部への一極集中や急速な少子高齢化による世代間交流の減少などから血縁、地縁が希薄化し「無縁社会」と呼ばれるようになった。私は人が直接話したり、聞いたり、触れあうことで新たな発見があったり暮らしが豊かになるのではないかと思う。他者と繋がることができ、日常利用と共に非日常的な体験のできるサードプレイスとなる建築を提案する。開発により人口が増えつつある千葉市美浜区打瀬に曲線で建築を構成する。曲線の間から生まれる形や大きさ,設えの違う空間は大人数で集まったり一人で過ごしたりと人々に様々な使い方を想起させる。そして人々が気軽に,自由に,思い思いに過ごし,利用することを期待する。


■全ての作品は、後日web site上にて閲覧することができます。

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